【教授のコラム】「大学に行くのが結局お得」は本当か(前編)

現実的な話として、大学を卒業する経済的なメリットはあるのか、

という問題がしばしば聞かれます。

 

大学で4年間学費を払って就職して、

高卒で働くのと比べて元が取れるのか

 

という点です。

上記の点について、学歴別年収データを見てみましょう。

 

出典:https://doda.jp/careercompass/hitome/daigaku.html

出典:平成24年 賃金構造基本統計調査

 

学歴 年収(単位は万)
20代 40代
中卒 275 390
高卒 290 450
高専・短大 320 490

 

大卒者・大学別 年収(単位は万)
20代 40代
東京国際 323 574
東京工科 340 555
東京経済 341 619
東京電機 375 615
東京農業 333 583
東京薬科 460 888
東京理科 410 665
早稲田 416 764
立命館 378 601
立教 379 650
慶応 458 813

 

 

学歴別平均でみると、中卒・高卒・専門卒よりも、

Fランクと言われている大学卒でも年収はかなり上。

40代でこの差がついてるということは、

50代でさらに差が広がることになります。

 

生涯年収を考えると、40代の年収差が10年、

50代でさらに差が広がった年収でさらに10年。

20代、30代での20年弱の差を加えると、

相当な差が出ることになります。

 

大学4年間の学費を考えても

回収+上積み確保可能となるはずです。

ちなみに上記学歴別データの中の大学別データを見ると、

医科系単科大学のデータがないので医学部は分かりませんが、

薬科大学の平均年収が突出しています。

薬剤師が安定した高賃金の専門職であることが改めて分かります。

 

一方、たまに「高卒でも大卒を逆転することもある」

といった主張を見かけます(例えばこのような記事)。

 

もちろん、高卒で有名大企業に就職した人と、

大卒で中小企業に就職した人とを比べれば、

高卒が大卒を逆転することも、理論上はあり得ます。

 

が、そのような高卒で特別優秀である意味特例的な人と、

比較的多くの例があると想定される大卒で中小企業に就職した人を比べることに、

どれだけの意味があるのでしょうか。

 

逆に言うなら、

大卒で超有名大企業に将来役員になることを期待されたような特例と、

高卒で無名中小企業に就職した人とを比べることくらいに、

無意味なことになることは明らかです。

 

大学時代に奨学金というローンを組んで、その後返済できない・・・

ということが社会問題化されていますが、

それはやはり一部の学生であり、

「平均」という大多数の数字で見ると、

やはり大学進学が貧困から抜け出す一つの大きな手段となる

ということが言えそうです。

 

 

後編につづく

 

この記事は

現役大学教授である夫が執筆したものを、

私、山中みさとが編集・公開したものです。

 

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