大学の入学試験を実施する側の大学教員
(一般入試、AO入試など経験あり)が、
大学入学を志望する学生に
どのような能力を持った学生に大学に入学してほしいと思っているか
ということを説明してみたいと思います。
「欲しい学生」は大学の種類によって異なる
旧帝国大学
中規模私立大学
地方国立大学
という3種類の大学に常勤教員として勤務してきた経験から見て、
「どのような学生が欲しいか」というのは大学の種類によって違ってきます。
ここでは大学を
研究者養成系大学
競争率高めの人気難関大学
社会人養成系大学
の3つに分けて説明していきたいと思います。
研究者養成系大学
独創的な研究を行い、論文が書けて、学会発表ができるような、
研究者として育ってくれそうな学生が欲しい
(主に旧帝大や国立大学)
↓
そのために
論理的思考力
言語表現力
などを入試で課すことが多い傾向にあります。
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競争率高めの人気難関大学
人気が高い大学は多くの受験生が殺到するため、
合格者・入学生の人数を絞るために、
点数に差が出る難易度高めの問題を作って選抜しないといけない
という現実的な考え方が前面に出てしまいます。
つまり
「どんな学生が欲しい」といったものは入試に直接は反映されず、
とにかく「点差」を付けて入学者を選抜しないといけないため、
重箱つつき問題のような難しい問題を出すしかない
という現実的な考え方になってしまいがちです。
ただし、
基礎学力のない、入試テクニックだけで難しい問題を解いてくる、
というような学生ではなく、
本当に大学で学ぶために必要な能力を持つ学生が欲しいため、
最近は本当の基礎学力を問う問題へとシフトしつつあります。
例えば早稲田大学は、文系でも経済系学部で数学を課す、
などの入試改革を始めてきています。
社会人養成系大学
国家試験や公務員試験などの合格率に定評のある大学は
試験にパスできる基礎能力を持つ学生が欲しい
という考え方が背景にあります。
ですので、
真面目に勉強できる忍耐力
勤勉さ
基礎知識力
基礎学習力
のような部分を確認したいという入試になる傾向があります。
番外編(いわゆるFラン)
番外編として、
全入大学(学生確保に苦労している非有名大学→いわゆるFラン)
についても触れておきます。
※広い意味では上記3つ目の社会人養成系大学に含まれます。
基本的に、
あまりにおかしいと思われる学生以外は、
基本的に全員合格させる傾向があります。
例えばAO入試なら、
最低限のコミュニケーションが取れる
最低限の常識を有している
という点を満たしていれば心配ない可能性が高いですし、
一般入試であれば
最低限の基礎知識があれば、
難問等ができなくとも合格可能
だと思われます。
※
入試というものの特性上、全入大学(Fラン)であっても、
入試問題内に難問を含める必要があります。
その理由としては、入試というものの対外的なメンツという側面と、
入試特待生制度がある場合には、その選抜も兼ねるという側面があるためです。
おわりに
以上、
「大学側が、どのような能力を持った学生に入学してほしいと思っているか」
について、現実的な側面を中心に、解説してみました。
建前上は、ほとんどの大学では「アドミッションポリシー」というものに、
「大学が、どのような能力を持った学生に大学に入学してほしいと思っているか」
についての理念・方針が記載されており、
ホームページや募集要項にて公表されているはずです。
AO入試や推薦入試などで面接を課す入試では、
アドミッションポリシーを重視した評価をしている場合もあります。
そのような情報も、ぜひ参考にしてみてください。
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