本記事では、学級崩壊における学級環境・学習環境の影響について
研究した論文の紹介をします。
Academic Competence, Teacher–Student Relationship, and Violence and Victimisation in Adolescents: The Classroom Climate as a Mediator.
Teresa I. Jiménez, David Moreno-Ruiz, Estefanía Estévez, Juan Evaristo Callejas-Jerónimo, Ginesa López-Crespo and Sonsoles Valdivia-Salas
Int. J. Environ. Res. Public Health 2021, 18(3), 1163
上記英語論文の読解法解説記事はコチラ
【英語論文読解法】学級崩壊における、学級環境の影響【トップダウン的事前知識活用読解法】
研究目的
学級崩壊とか校内暴力の要因分析を行うこと。
研究方法
スペインの中等教育11歳から18歳、2399人を対象。
教室環境、同級生への校内暴力、同級生の被害に対する
認識アンケートデータ、
担任教師から、生徒の学力や教師と生徒の関係についての
アンケートデータを収集。
解析方法
構造方程式モデリングでの分析(媒介効果とかを見る)を使用。
研究結果
教師の学力認識は、暴力や被害を減らす直接的な要因となりうる。
教師による「教師と生徒の関係認識」は、
学習環境を通じた間接的な要因として、
暴力の直接的なリスク及び被害を減らす。
研究結果を受けての感想・コメント
・教師の主観的な認識(生徒の学力の認識と、教師と生徒の関係の認識)が、
学級崩壊や校内暴力を減らす要因になっている、というのは、
直感的にも納得しやすい結果と言えそうです。
しかしこれを逆に読むと、学級崩壊の主原因は
「子どもではない可能性がある」ということも言えてしまうかもしれません。
もちろん今回の研究は子ども側の要因や子どもの親・生育環境などを
きちんと含めていないので、
教師の主観的な認識が全て、とは言えない結果ですが、
少なくとも子どもの学習環境を整えるという点で、
教師の役割は大きい、ということは言えそうです。
・教師が正しく生徒のことを認識できているかどうか
(特に個々の生徒の学力、及び教師と生徒との関係性)が、
学級崩壊・校内暴力の抑制に繋がるということは、
逆に言えば、学級崩壊・校内暴力が生じてしまっている場合には、
教師が生徒のことを正しく認識できていない、
ということになるかもしれません。
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