通常の対面授業とブレンデッドラーニング(部分的オンライン授業)では学習効果に差はなし【信頼性・根拠のある育児・子育て・教育・学習科学論文】

本記事では、対面授業とオンライン授業・オンライン学習を含む

ブレンデッドラーニングとの学習効果の比較に関する

研究をした論文の紹介をします。  

 

用語解説:

ブレンデッドラーニング(ブレンド型学習)とは、

対面授業とオンライン学習をブレンド(混在)させた教授法のことです。  

 

Facilitating flexible learning by replacing classroom time with an online learning environment: A systematic review of blended learning in higher education Claude Müller, Thoralf Mildenberger Educational Research Review Volume 34, November 2021, 100394

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1747938X21000178  

 

まずは論文の内容について解説します。

 

研究目的

教室での学習時間をオンライン学習環境に置き換えることの

影響を調査すること(ブレンデッドラーニングの教育効果の調査)  

 

研究方法

メタ分析によるシステマティックレビュー。

研究デザイン、学習成果の測定、ブレンデッドラーニングの

実施に関する厳格な対象基準を適用。  

 

研究結果

オンライン学習を含むブレンデッドラーニングに関して、

推定された効果量(Hedge’s g)は、

信頼区間[-0.13, 0.25]でゼロとは有意に異ならないものの、正の値。

 

ブレンデッドラーニングと従来の教室での学習との間の全体的な差は小さく、

せいぜいごく小さな負の効果か、中程度の正の効果。

つまり、対面授業の一部をオンライン学習にしても、

学習効果において差はない、ということ。

 

ただしブレンデッドラーニングでは、

オンラインでの学習に切り替えた部分によって、

教室での学習時間が対面授業と比べて30~79%減少したにもかかわらず、

対面授業と同等の学習成果が得られたということになる。  

 

本研究結果を受けての感想・コメント

・メタアナリシスを用いた研究なので、

実証研究1本の結果よりも主張の妥当性が高いと言えます。

 

特に論文の選定条件が厳しめなので、

変な論文が混ざっていない結果になっていると言えそうです。  

 

・「オンライン授業は対面授業よりも学習効果があった!」

「オンライン学習よりも対面授業の方が効果があるに決まってる!」など、

偏った結論を出したがる単一研究の論文や報告とは異なり、

対面授業のみvs.ブレンデッドラーニングについての結果をまとめてみて、

「効果は同等」となっているので、

信ぴょう性・信頼性・妥当性は高いのではないでしょうか?

 

・一方で、ブレンデッドラーニングへのオンライン学習の

組み込み方などによって学習効果が異なる、という可能性もあるため、

今後はその点をより深堀りしていく必要がありそうだと思います。

 

結局、オンライン学習にも対面授業にもそれぞれメリット・デメリットがあり、

そのメリットを最大限に引き出して、

デメリットを最小限に抑える方法を見出すのが最終的なゴール、

になっていくのではないでしょうか。  

 

特にブレンデッドラーニングにおいてオンライン化した部分は、

学生の学習進捗状況などのログが取れるため、

学生の学習状況を把握することが容易になってきます。

 

そのような教員側の労力が削減できる分、

より学生支援のための活動に労力を振り分けられる、

というメリットも出てくるかと思われます。

 

教員側の労働環境問題にも貢献できそうな部分かもしれません。

 

・最近よく見る主観的・感想的な意見としては、

授業中での解説・説明はオンラインでの動画などの形にしておいた方が、

学生にとっては何度も見返すことができるために復習がしやすい、

というのは直感的にも賛成できます。

 

近年では、そのようなサービスの一つとして、

スタディサプリといったサービスも、

評価が高まっているように感じます。

 

【広告です】:【スタディサプリ】動画授業で苦手を克服

 

一方、少々複雑でやり取りが必要そうな内容の

説明・解説を個人的に行う場合には、

オンライン学習よりも対面授業の方が効果が高そうにも思えます。

 

学生同士が集まって議論・討論する、といった場合は、

対面授業の方がよさそうな気もしますが、

例えばZoomというソフトのブレークアウトセッションという機能では、

席の移動なしに学生を数人ずつのグループに分けて、

画面上で資料を共有しながらディスカッションをする、

といったことが、今ではオンラインで容易にできてしまいます。

 

便利に使えるものは積極的に使っていく方が、

結局は総体的に見て教育効果・効率は高まっていくように思います。

 

そういう意味で、対面授業一辺倒、ではなく、

オンライン学習と対面授業のいいところどり的な感覚で、

ブレンデッドラーニングが広まっていってもいいのではないか、と思います。

 

他の論文紹介記事はこちら

 

【広告です】 英語学術論文の読み方に関するおすすめ書籍へのリンク

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。