本記事では、客観的な貧困度及び主観的に自分を
貧困だと思う割合に対する、
教育の効果についてのメタアナリシスによる研究論文の紹介をします。
The effect of education on poverty: A European perspective
Thomas Hofmarcher
Economics of Education Review 83 (2021) 102124
研究目的
教育と貧困のさまざまな側面との因果関係を明らかにすること。
研究方法
欧州32カ国の義務教育改革からなる新しいデータベースを構築し、
それを教育の指標として使用。
研究結果
教育が経済的に大きな貧困削減効果をもたらすことがわかった。
特に、絶対的・相対的な客観的貧困指標と、主観的貧困指標の両方。
教育年数が1年増えるにつれて、
客観的に貧困状態にあると分類される可能性が高まった。
一方で、自分自身が貧困状態にあると主観的に考える可能性も減少。
本研究結果を受けての感想・コメント
・従来、貧困と教育との関係を調査すると、
大抵は「教育を受けると貧困に陥るリスクが減る」
という結論になる研究が過去には多くありました。
この調査も、従来の結果と同じ結果を示しました。
・この調査の面白いところは、客観的な貧困度を調べただけでなく、
主観的に自分が貧困かどうか、についても
データを取っているところかと思います。
ですので、結果として教育を受けることで、
主観的な貧困度も低減される、ということが
示された点が、面白いところだと思います。
・大規模な調査ではありますが、欧州での結果なので、
日本にそのまま当てはめられないとは思います。
しかし、直感的には大きく異なることはないのではないでしょうか。
特に日本は学歴社会ですので、
教育が貧困度を低減させる可能性は、
欧州などの結果よりも高い可能性もあります。
他の論文紹介記事はこちらへ
【広告です】英語学術論文の読み方に関するおすすめ書籍へのリンク