本記事では、達成感が学業成績にどれほど影響があるのか、
についてのメタアナリシスによる研究論文の紹介をします。
Activity Achievement Emotions and Academic Performance: A Meta-analysis
Jesús Camacho-Morles, Gavin R. Slemp, Reinhard Pekrun, Kristina Loderer, Hanchao Hou & Lindsay G. Oades
Educational Psychology Review volume 33, pages1051–1095 (2021)
https://link.springer.com/article/10.1007/s10648-020-09585-3
研究目的
達成感に関連する感情について、
楽しみ、怒り、欲求不満、退屈などの活動に関連する感情に焦点を当て、
これらの感情が学業成績にどの程度強く関連しているかを明らかにすること、
およびそれらの効果のモデレーターを検討すること。
研究方法
68件の研究でのメタアナリシスを実施。
68件の研究の内訳は、「楽しみ」が57件(N=31,868)、
「怒り」が25件(N=11,153)、「フラストレーション」が9件(N=1418)、
「退屈」が66件(N=28,410)。
研究結果
「学習の楽しさ」と「学業成績」の間には正の関係があり(ρ=0.27)、
「怒り」(ρ=-0.35)と「退屈」(ρ=-0.25)では負の関係。
フラストレーションについては、
学業成績との関係はゼロに近かった(ρ=-.02)。
モデレーターのテストでは、活動感情と学業成績との関係は,
(a)生徒が中等学校に在籍している場合,
小学校や大学に在籍している場合と比較して,より強くなる,
(b)達成感情質問票-数学(AEQ-M)での測定時により強くなること、
が明らかになった。
本研究結果を受けての感想・コメント
・結果として、やはり達成感は学業成績に大きな影響を
与えていることが示されました。
・モチベーション理論とも整合性がある点としては、
やはり「学習の楽しさ」がプラスの効果として強いな、というところですね。
・意外と「怒り」のマイナス効果が高い点は、着目すべきかと思います。
教員が何気なく行っている言動や行動が学生に「怒り」の感情を
生じさせている場合は、大きなマイナス効果を産んでいる可能性が高い、
ということになります。
これは結構「あるある」なのではないでしょうか?
学生が納得いかないような制限を強要されたり、
納得のいかない課題を課されたりなど。
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