本記事では、ゲームを用いて勉強すると、
勉強へのやる気、特に内発的モチベーションが向上する、
という結果を示した、
システマティックレビューによる研究論文の紹介をします。
Psychological interventions of virtual gamification within academic intrinsic motivation: A systematic review
Joy Xu, Aaron Lio, Harshdeep Dhaliwal, Sorina Andrei, Shakthika Balakrishnan, Uzhma Nagani, Sudipta Samadder
Journal of Affective Disorders. 2021: 293: 444-465.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S016503272100656X
研究目的
ゲーミフィケーションによって、
学生の学習に関する内発的やる気/モチベーションの
向上効果を検証すること。
*ゲーミフィケーションとは、
ゲームデザイン要素やゲームの原則を
ゲーム以外の物事に応用すること(wikipedia参照)です。
*内発的やる気/モチベーションとは、
好奇心や関心によってもたらされる動機づけであり、
賞罰に依存しない行動である(wikipedia参照)。
研究方法
1990年から2020年の間に、アジア、北米、ヨーロッパ内で
英語で発表された論文を対象。
メタアナリシスを目的として、
システマティックレビュー形式で論文の選定を行ったが、
選定・抽出できた論文の異質性により、
メタアナリシスができなかったため、
システマティックレビューによる質的分析を行った。
研究結果
ゲーミフィケーションは
バッジ
ソーシャルインタラクション
ポイント
リーダーボード
といった要素を通じて内発的モチベーションを向上させた。
また、実験的な研究では学習行動との相関が示された。
本研究結果を受けての感想・コメント
・単一の実験論文ではなくシステマティックレビュー
による研究なので、
比較的信頼性・妥当性が高い研究結果だと思います。
・学習や教育のゲーム化、というと、
複雑なゲームとして構築しないといけないのか、
と想像してしまいがちですが、
学習が進むとバッジやポイントがもらえるとか、
SNS的な要素を組み込むだけで、
充分内発的やる気を刺激できることが示されました。
教員個人が自分の授業でゲーム化を組み込むことが、
充分可能な範囲の要素ではないかと思います。
・ゲーミフィケーション自体、学校での成績を向上させる効果が
あることを示したメタアナリシスによる論文がありましたが、
内発的やる気/モチベーションを高める効果があるという結果と、
整合性があると思われます。
【学習科学論文紹介】ゲームで勉強すると成績が上がる(ゲーミフィケーションの学習効果高し)【信頼性・根拠のある育児・子育て・教育】
・結局、やる気が最も成績向上に影響がある、
というメタアナリシスもありますし、
やはりやる気を媒介として成績が上がる、
というメカニズムは、非常に信頼性が高い現象だと言えそうです。
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