高校生や中学生の皆さんにとって
避けては通れないのが「進路」について考える事。
早い段階から明確に目標を持っている人であれば、
自分の希望する進路の実現に向けて
どんどんと突き進んで行けるのだと思いますが、
多くの皆さんにとっては頭を悩ませる問題なのではないかと思います。
そこで今回は
大学のオープンキャンパスでチェックすべきポイントは?気軽に参加してもいいの?
の記事と同様、現役の大学教授に
進路についての様々な疑問について質問をしてみました。
長いインタビューになってしまいましたので
前編・後編の2回に分けてお届けしていきたいと思います。
ぜひ最後までお付き合いくださいね♪
高卒で就職した場合の離職率が高いってホント?
高卒で就職した人の離職率が高いという話を聞いた事があるのですが、
それって本当なのでしょうか?
はい、それは本当です。
平成30年10月に、
厚生労働省から「新規学卒就職者の離職状況」というデータが発表されているのですが、
それによると、平成27年3月に高校を卒業した人の3年以内の離職率は39.3%と高い数値を示していることが明らかになっています。
というと、高卒で就職した人のおよそ10人中4人が
3年以内に辞めてしまっているという事になりますね・・・。
そういうことになります。
ちなみにこのデータでは、大卒者の3年以内の離職率も示されているのですが
そちらについては31.8%と、高卒者よりも若干低いパーセンテージになっています。
高卒の方がおよそ1.2倍も多くの人が離職しているのですね。
これらは就職から3年以内の離職率についてデータですが、
就職1年目の離職率については、もっと顕著で、
高卒者は18.2%、大卒者は11.9%となっているので、
1.5倍以上、高卒の方が多く辞めてしまっているということになります。
1.5倍以上も!その差はとても大きいですね。
必ずしも「高卒で就職する事が悪い」という事ではないですが、
高校3年生くらいだと、まだ自分が本当にやりたい事が見えていなかったりするケースも多いと思うので、
実際に就職して働き始めてから「自分のやりたい事と違う」と感じてしまって
離職をしてしまうケースが多いのではないかと私は感じています。
確かに18歳くらいでは、
まだ自分の将来像がハッキリ見えていない子が多いかも知れませんね。
高校3年生の時点で、自分のやりたいことがしっかりと固まっている子であれば
就職を選んでも全然問題ないと思いますが、
将来の目標がきちんと定まっていないような場合は、
家庭の事情が許すのであれば「進学」を選ぶのがおすすめです。
生涯賃金(一生の間に稼げるお金)にも、
高卒で就職するのと進学するのとでは
一定の差が生じるのが現実ですから。
進学したいけれど金銭的に厳しい場合はどうすればいいの?
将来の目標がきちんと定まっていない場合は
「進学」がおすすめということですが、
中には、家庭の金銭的な事情で進学をあきらめてしまうケースも多いと聞いています。
そういうケースについてはどうすればよいのでしょう?
実は2019年の5月に、
高等教育の無償化に向けた「大学等修学支援法(大学無償化法)」という法律が成立しました
この制度を利用すれば、所得の低い家庭の子どもが大学等に進学する場合、
学費減免と返済不要の奨学金を受給できるようになるので、
今までよりも「進学」に対するハードルは低くなると考えられます。
ちなみに2020年4月から実施される予定だそうです。
この制度の対象になるのは大学だけなのでしょうか?
いいえ、大学だけではなく短大・高等専門学校・専門学校も対象ですが、
文部科学省の審査に合格した学校のみでの適用になりますので
その点はご注意ください。
この制度について詳しく知るためにはどうすればいいですか?
通っている学校の先生に聞いてみても良いと思いますが、
文部科学省のウェブサイトにも情報が掲載されていますので
ぜひチェックしてみてください。
2019年度の高校3年生は申し込み期間が
(2019年の)6~7月となっているので、
それに間に合わなかった・・・という子も出るのではないかと思いますが・・・
そうですね。
でも、この制度以外にも方法はありますよ!
それは奨学金を受給する・・・という事でしょうか?
もちろん「日本学生支援機構」などで
奨学金を受給するというのも1つの方法ではあります。奨学金は、ざっくり分けると
「貸与型」と「給付型」の2つのタイプがあって、
「貸与型」の場合は、当然ながら大学などを卒業した後に返済をしなければなりません。
つまり、言葉は悪いですが「借金」になるということですね。
そうですね。
ですから、万が一、卒業後の所得が低くなってしまった場合、
その後の生活を大きく圧迫してしまう可能性も否めないので、
そのあたりのリスクも踏まえた上で申し込んだ方が良いと思います。
確かに、社会問題になっているという話も聞いた事があります。
そこでおすすめなのが「給付型」の奨学金を目指すという方法です。
給付型という事は、返済の必要がないという事ですよね?
そうなります。
「日本学生支援機構」でも給付型の奨学金はありますが、
それ以外にも企業などの団体が母体となっている給付型の奨学金も少なくないので
そういうものを利用するというのも手です。
給付型の奨学金を支給してくれる団体って
思っていた以上に多いんですね。
ただし受給の条件は団体によって様々ですので、よく確認をするのが大切です。
先に紹介したサイトには載っていないかもしれませんが、
中には、受給にあたって「うちに就職して〇年以上勤務する事」という条件を付けて奨学金を給付してくれるようなケースもあるようです。
これは病院等が看護学生さん等を対象にしたものが多いようです。
奨学金がもらえる上に、就職先まで確保できるという事ですよね。
考えようによってはとてもお得ですね!!
これ以外にも独自の奨学金制度を持っていたり、
特待生になると学費の免除が受けられるシステムがある学校もありますので、
そのあたりもチェックすることをおすすめします。
特待生になると、どのくらいの学費免除が受けられるのでしょうか?
これはその学校によって様々なので一概には言えませんが、
私が勤務する大学だと、在学期間の全ての学費が免除されるというものや、
半額免除など、いくつかの選択肢があります。
気になる場合は、その大学に問い合わせたほうがよさそうですね。
そうですね。
遠慮なく問い合わせをしてみてください。
後編に続く・・・
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