【進路選択】進学か?就職か?大学教授からのアドバイス【大学教授に聞いてみた②-1】
のつづきです
大学と専門学校って何が違うの?
高校卒後業後の進路を考えた時、専門学校に進むか大学に進むかで悩む人も多いと思います。
看護系や福祉系など、専門学校・大学いずれにも学科が存在する分野がありますが、
大学と専門学校って具体的に何が違うのでしょう?
一番の違いは卒業時にもらえる学位です。
通常、四年制大学を卒業すると「学士」の学位がもらえますが・・・
専門学校卒でもらえる学位は「専門士」または「高度専門士」になります。
「高度専門士」って聞きなれない名前ですけど
「専門士」との違いを教えていただけますか?
「高度専門士」は、修業年限が4年以上であることや、
トータルの授業時間数が3400時間以上であることなど、
文科省が定めた一定の基準を満たしている専門学校で取得できる学位で、
大学院へ編入することが可能になります。
確か「専門士」の場合だと4年制大学への編入が可能ですよね?
そうですね。
基本的に大学3年、もしくは2年生に編入することができます。
もちろん「無試験」で編入できるのではなく、
「編入試験」に合格する必要がありますよね。
そうなりますね。
取得できる学位も違いますが、
大学と専門学校では取れる資格も異なってくる場合もあります。
共通して取れる資格もあるけれど、
専門学校では取れない資格もある・・・という事でしょうか?
そうですね。
看護系の専門学校と大学との違いを例にすると、
大学でも専門学校でも看護師国家試験受験資格が取得できますが、
養護教諭の資格は大学でしか取れません。
また、高度実践看護師という資格もありますが、
これらは大学院修士課程で取得できるものですので、
専門学校卒の場合は先にお話しした「高度専門士」の学位を取得するか、専門学校卒業後に看護系の大学に編入して「学士」の資格を取得した上で
「大学院入試」に臨む必要がありますので、もしかしたら4年制大学に進学した人よりも
大学院進学は大変になるかもしれません。
「看護」の分野に限らず、他の分野でも
この例のように「大卒」と「専門学校卒」では
取れる資格が違ってくるというケースも十分にあり得るのですね。
専門学校は「高度専門士」の学位を取得しない限りは
修了年限も大学より短いので
「より早く社会に出たい」「特定の資格のみ取れればOK」
という場合には向いていると思いますが、様々な資格を取得したい人は大学の方がおすすめです。
取得できる学位の違いについては分かりましたが、
学べる内容にも差があったりするのですか?
学べることも違ってきます。
どちらが良いという意味ではないのですが、
簡単に言うと、大学は幅広い知識・技術・学術的な方法を学ぶ
専門学校は専門のみに特化して学ぶ
という違いがあります。
大学が「4年かけて特定分野に限らず
広く深く学びつつ、専門分野を深く学ぶ」
専門学校が「専門分野の実践的な側面をしっかりと学び、
即戦力的な実践部分が重視される」というイメージでしょうか?
そのような捉え方で差し支えないと思います。
ちなみに、昔は大学が理論重視、専門学校が実践重視と言われていましたが、
今は大学でも実習等が多く取り入れられていて、実践に関する差はほとんどありません。
なるほど。
どちらに進学しても十分な実習が受けられるという事ですね。
他にはどのような違いがありますか?
卒業後の進路選択の自由度も違ってきます。
先ほどもお話ししたように「専門学校」は「専門分野」に特化して学んでいくので、
もし在学中に違う進路を進みたくなったとしても
方向転換をするのが非常に困難である、という一面があります。
大学の場合だと、進学後に進路変更をしたくなったとしても
ある程度、融通が利くという事でしょうか?
大学によっては「転科」「転部」が可能なところもあるので、退学をすることなく進路変更が可能な場合もあります。
専門学校に入ってから進路変更をしたくなった場合は・・・
専門学校を卒業してからなら大学に編入できますが、
そうでない場合は大学等に入り直すことになると思います。
よく専門学校は
「大学に入るのは敷居が高いから・・・」
という理由で進学する人もいると聞きますが、
それだけの観点で入学してしまうのは不安要素が大きいかもしれませんね。
進路希望がしっかりと固まっている人に向いてるのが
「専門学校」だと思います。
専門学校か大学かで悩んでいる時の判断基準は?
専門学校に進学するか大学に進学するかを決めかねている・・・
という人も多いと思います。
そのような皆さんにアドバイスをお願いしたいのですが。
先ほどお話したこととも重なりますが、
まず、自分の進路希望が固まっているかどうかを考えてみてください。
その上で、
この先、その進路希望がぶれない・なおかつ早く社会に出たい場合は、
「専門学校」に進学したほうが良いと思います。逆に
「自分は将来何をしたいか分からない」「今はこれをやりたいと思ってるけど、気が変わるかもしれない」
という場合は、別の選択肢を見つけやすくなり、
かつ別の進路に進みやすいので、大学の方がおすすめです。
大きなポイントとしては、
まず「進路希望がどれだけ固まっているか」というのが
重要になってくるという事ですね。
はい。
あとは、
「この先自分は仕事について突き詰めて研究・勉強してレベルアップする気持ちがある」という場合についても
最新の情報・技術が学べるという意味で「大学」に進んだほうが良いと思います。
あとは取得したい資格との兼ね合い・・・でしょうか?
そうですね。
専門学校と大学、それぞれで取得可能な資格をしっかり確認して
その上でどちらに進学するかを判断したほうが絶対に良いです。
せっかく入学したのに、取りたい資格が取れない・・・
となったら大変なことですものね。
「学校の雰囲気が良かったから」
「親に❛大学に行きなさい❜と言われたから」
「入試の科目が少ないから」
という目先の理由だけで判断せず、
ここでご紹介したポイントを踏まえつつ、
自分の進路をしっかりと見つめた上で
「大学」にするか「専門学校」にするか決めてほしいですね。
専門学校に進学する場合に注意する事
専門学校に進学する場合には
注意をしていただきたい事があります。
それは、その専門学校が文部科学省の
「認可」を受けているかどうかという点です。
無認可の専門学校に進学してしまうとどうなってしまうのでしょう?
認可を受けていない専門学校の場合、
履歴書に「専門学校卒業」と書けません。
つまり「高卒」と同等の扱いになってしまう可能性が高いという事です。
当然ながら「専門士」の学位も大学に編入する資格も得られません。
しっかりと「学歴」に反映させるには
「認可校」に進学する必要があるという事ですね。
そうですね。
その専門学校が認可校か否かは
文部科学省のウェブサイトでチェックできますので
受験を考えている方は必ず確認するようにしてください。
高校生や中学生の皆さんが悩んでしまいがちな進路の事、
それについての考え方や向き合い方がよく分かりました。
いろいろ教えていただきありがとうございました。
進学や就職をするために、
勉強などを頑張るのも、もちろん大切な事ですが、
しっかりと情報を収集して、後悔しない進路選択をしてくださいね。
【関連記事】
【進路選択】進学か?就職か?大学教授からのアドバイス【大学教授に聞いてみた②-1】
オープンキャンパスで見るポイントは?行けない場合はどうすれば?【大学教授に聞いてみた①】
【進路】大学教授の高校時代は赤点だらけ!挽回した方法は?【大学教授に聞いてみた③】