【注】
この記事では「叱ること」そのものを否定しているわけではありません。
子どもの健全な発達には「叱らなければならない」場面も必要です。
ここでは、ともすれば「虐待」につながってしまうような
必要以上の「叱責」が及ぼす悪影響についての危険性をお話ししています。
子育てにおいて「叱る」という行為は時に必要なものですが、
イライラしてしまって感情的に怒鳴ってしまう
「甘やかすのは良くない」と思って強い言葉を使ってしまう
というように、
必要以上に叱りすぎてしまった
という経験のある方は多いのではないかと思います。
もちろん私もその中の1人。
子どもが大きくなった今でも、
時々、娘を強く叱りすぎてしまって
「あんなに強く言わなければよかった・・・」
と、後悔をしてしまったり、
時間が経った後、娘に
「言いすぎてごめんね」
と謝る事もしばしばです。
ところが先日、
学習心理学
発達心理学
認知神経科学
を、専門に研究している夫が
「子どもを必要以上に叱りすぎると、
成長にマイナスな影響を与えるという研究論文が存在する」
という情報を教えてくれ、
その論文の内容を詳しく解説してくれるという出来事がありました。
その内容はとてもショッキングなもので、
「子どもを叱りすぎる」という行為を本気で改めなければならない!!!
このままでは非常にヤバい!!!
と、強く感じたのと同時に
多くの人に知ってもらいたい内容である
と思いました。
そこで今回は、
その論文の衝撃的な内容を詳しく紹介していきたいと思いますので、
ぜひ日々の子育ての参考にしてみてくださいね。
子供を叱りすぎると「悪影響」しかない!!!
子どもを叱りすぎるとどうなるか。
これについては、
悪影響しかない!!!
という事が様々な研究者によって示唆されています。
それでは、子どもを叱りすぎると
実際にどのような影響が出てしまうのでしょう?
ここでは、特に重大だと思われる2点について
ご紹介していきたいと思います。
成績がダウンする
子どもを叱りすぎてしまう事の弊害として
無視できないのは、
成績がダウンしてしまう恐れがある
という点。
子どもの「やる気」をアップさせるには
「自己効力感」を持つことが大切であるという事は
という記事でご紹介しましたが、
痛み
疲労
恐怖
は、自己効力感を下げる要因であることや、
Chapellらの研究によると、
テストへの不安はテストの成績を下げる
ということが示唆されています。
これらは、親に過剰に叱られた子どもが味わうであろう
感情・体験とほぼ等しいと言えるため、
子どもを過剰に叱る=テストの成績が下がる
という可能性は十分!!!
また、自己効力感が高まると学業成績も高まるという点については
Robbins やRichardson ら、Honicke と Broadbent など
数多くの研究者が大規模調査で証明している事から、
叱ることで子どもの自己効力感が低下してしまう可能性があり、
子どもを強く叱っても成績は上がらない
→むしろ成績は下がる
という危険性をはらんでいると言えるのです。
脳の発達に多大な影響を与えてしまう
成績がダウンする以上に深刻な問題なのが
子どもを叱りすぎてしまう事で
脳の発達に多大な影響を与えてしまう
という危険性が指摘されている点。
Gärtnerらの研究によると
大人が子どもを「支配しよう」とすると、
子どもの脳の発達・認知機能の発達を阻害する可能性があり、
その結果、
子どもは抑制が利かなくなり、
暴力をふるったり大人しく座っていられなくなる
という傾向が示されているそうですし、
Swinglerらの研究では
母親的な優しい支援が、子どもの抑制系機能を高める
という傾向が示唆されているそう。
これは逆に言うと
感情的に子どもを叱り飛ばす・支配しようとすると、
子どもは抑制が利かなくなり暴力をふるったり大人しく座っていられなくなる
ということにもつながるため
子どもを過剰に叱りすぎる事の危険性は決して軽いものではないようです。
「叱る」のではなく「さとす」のが◎!
ここまで、
子どもを過剰に叱りすぎる事の危険性を
科学的な根拠をもとにお話ししてきました。
でも、
「子育てをしていると叱らなければいけない場面はある」
「叱ることも時には必要」
というご意見も多々あろうかと思います。
もちろんそれは当たり前のこと。
時々、「叱らない子育て」という意味を勘違いして
子どもが悪いことをしても放置している方が見受けられますが、
それは全く子どものためになっていないのは明らか。
子どもを過剰に叱りすぎないために大切になってくるのは
アプローチの方法を変える
という事。
感情的に怒鳴ったり、
子どもを怖がらせて言う事を聞かせるのではなく
どうしてそれは悪い事なのかを言葉で説明する
同じ事を繰り返さないための方法を一緒に考える
というように
冷静に話をする=さとす・導く
という姿勢で子どもと向き合うのが有効!!
子どもの健やかな成長を阻害しないためにも
ぜひ意識してみてくださいね。
(もちろん私も実践します!!!)
親は上手にストレス解消を
もしかしたら
「親だって人間なのだから時には感情的になることもある」
「怒りを感じた時に感情を抑えるのは無理!」
と思ってしまう方もいらっしゃるかも知れませんね。
でも・・・
あなたは怒りを感じたからと言って・・・
ママ友を怒鳴りつけたりするでしょうか?
近所の人を𠮟りつけたりするでしょうか?
多くの方がきちんと「抑制」をして冷静に対応をしていると思います。
子どもに対してもそれは同じです。
「我が子」だからと言って自分の感情をぶつけて良い理由にはなりません。
そのために大切なのが
自分のストレスを上手に解消する
という点。
ストレスがたまっている状態だと普段以上にイライラしやすくなって、
子どもを必要以上に叱りすぎてしまう・・・
こんな経験のある方は多いと思います。
そのような事態を避けるべく、
↓のサイトなどを参考にしてストレスの解消を習慣化し、
常に冷静さを保てるようにしていきましょう♪
(もちろん私自身も含めて)
その「ストレス解消法」、自分に合ってる?楽しく過ごせるタイプ別解消方法
おわりに
子どもを過剰に叱りつける行為は、
自己効力感
やる気
子どもの脳の発達・認知機能の発達
にマイナスの影響を与え、
成績の低下
を招く危険性が示唆されている事が分かりましたが、
逆に言えば、
褒めて自己効力感を高めると、
やる気が出て勉強ができるようになる
抑制系機能を含む高次脳機能も高まる
脳自体の発達にもプラスに働く
というように、
子どもにとって良いことずくめ!!!
の記事も参考に、
叱る子育て→ほめて子どもを伸ばす子育て
に、シフトしてみてはいかがでしょうか。
もちろん私自身も意識的に実践していこうと思っています。
参考文献
Chapell et al. 2005, Journal of Educational Psychology
Robbins et al. (2004)
Richardson et al. (2012)、
Honicke and Broadbent (2016)
Gärtner et al. (2018).
Swingler et al. (2018).
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