メンタリストDaiGoさんの動画が大好きな私。
※
以前にもメンタリストDaiGoさんの動画に関する記事を書いています。
「宿題は無意味である」というのは誤解!フェイクニュースにご注意を!!!
つい最近も
という動画を観ていたのですが、
その時、前回と同じように夫が現れて一言。
「あれ?最近の研究結果ってこんな方向だったっけ???」
うちの夫は
学習心理学
発達心理学
認知神経科学
が、専門の大学教授。
その職業柄、たくさんの研究論文に目を通しているので、
その発言には一定の信憑性があります。
その後、夫は、
メンタリストDaiGoさんの動画で紹介されていた論文
Genes, Education, And Labor Market Outcomes: Evidence From The Health And Retirement Study
を、改めて読んでみたそうなのですが、
その結果、
メンタリストDaiGoさんが論文の内容を誤って解説している
という可能性がある事が分かったそう。
そこで今回は
メンタリストDaiGoさんが解説している動画
の、どこが間違っているのかについて
夫から聞いた説明をご紹介していきたいと思います。
メンタリストDaiGoさんの動画で気になる4つの点
の動画において、
その内容に正確性が欠けると思われるのは次の4つの点。
ここでは、それらについてお話していくとともに、
論文に書かれている正しい内容をご説明していきます。
「親は裕福な環境で子どもを育てるべき」という主張
メンタリストDaiGoさんは動画の解説の中で、
「子どもの才能を伸ばすためにはある程度の裕福さが必要」
「親は少しでも裕福な環境で子どもを育てることができるよう努力すべき」
であるという事が研究結果から読み取れるとしていますが、
この論文の中で実際に書かれているのは
Specifically, early investments in human capital (proxied by childhood family SES) may substitute for genetic endowments in preventing very low levels of educational attainment.
要約:低レベルの教育を避けるという点で、子どもへの早い段階での教育への投資は、遺伝的要因の代わりになる。
Genes, Education, And Labor Market Outcomes: Evidence From The Health And Retirement Studyのセクション3.5より抜粋
といった程度にとどまっていて、
子どもを裕福な環境で育てるべきであるという事にまで言及されていません。
また、メンタリストDaiGoさんは
頭の良い遺伝子を持っている親から生まれて、
なおかつ、裕福な家庭で育った子どもについては大学進学率が高い
といった趣旨の説明を動画内でされていますが、
これについても正しくは、
親が裕福だから子どもを良い学校に通わすことができて、
大学の進学率が高い結果になったのか、
それとも裕福だと親の育児スタイルに良い影響があって、
子どもの大学進学率がアップしたのか、
については今回の研究では結論付けられない
ということを文章中で述べていて、
子どもの才能を活かすには
親の経済力が重要であると言い切ってしまうのは早計である
と言えるそう。
詳しくはこちらのページで解説しています。↓
「ほめると子どもはダメになる?科学的データに基づく結論:自己効力感の影響」
ですので、
DaiGoさんは「残酷」と動画内で何度か言っていましたが、
この調査は、残酷ではなく、希望が持てる内容と言えそうです。
※
ちなみに親の経済力や遺伝子などよりも、
「自己効力感」という子どもの特徴が、
子どもの学力や将来の年収などに密接な関係がある、という研究結果があります。
この事については
で詳しくご紹介しているので、
ぜひ、こちらもご覧くださいね♪
研究としての科学的正確性はちょっと弱いかも・・・。
動画内でメンタリストDaiGoさんがデータとして扱っていた
Genes, Education, And Labor Market Outcomes: Evidence From The Health And Retirement Study
という論文は、
学術界できちんと内容を精査されたものではなく
全米経済研究所の報告書
→ただのデータ報告
に位置づけられるものだそうです。
そのため、
研究としての科学的正確性等は保証されておらず、
根拠としては弱い
と、言わざるを得ない部分があるのだそう。
調査対象の人数も違う
メンタリストDaiGoさんは動画内で
「この研究は18万人を対象に行ったものである」
との説明をしていますが、
実際の論文に記されている調査対象数は
8537人以内
となっているとの事。
うーん・・・。
18万人と8537人以内では、
ずいぶんと数が違ってきますよね。
収入データを今の社会状況に照らし合わせるのは難しいかも
この論文で示されている親の収入データは1951年から2013年のセット。
つまり、一番古いデータは
およそ70年前
のもの・・・。
比較的、現在に近い年代であればともかく、
古い年代の収入データについては、
今現在と
物価
平均的な収入の額
なども異なってくるため、
今の社会状況に照らし合わせて解釈できるかどうか微妙なところ。
論文内でも、
1980年代を境に、収入等のデータに変化がある
などの記述もあるため、
ここでのデータを単純に「今現在」と結びつけるのは難しい可能性も。
メンタリストDaiGoさんが悪いわけではない
ここまで、メンタリストDaiGoさんの動画
の解説が間違っている可能性についてお話ししてきましたが、
皆さんに誤解して欲しくないのは
メンタリストDaiGoさんが悪いわけではない
という事。
※
もちろん、リサーチ協力のYu Suzukiさんが悪いわけでもありません。
夫いわく、
この
Genes, Education, And Labor Market Outcomes: Evidence From The Health And Retirement Study
は、
正式な「学術論文」ではなく「報告書」であるため、
非常に分かりづらい文章で書かれていたのだそう。
研究専門職である夫ですら、
きちんと読み解くのに大変な苦労をしたほどのだったため、
一般の方が読んだらいろいろと誤解してしまうのは納得
だと話してくれました。
ですので、
メンタリストDaiGoさんは論文の内容をねじ曲げたのではなく
論文の内容を誤って解釈してしまった
に過ぎない可能性が大であるという点を
ご理解いただければと思います。
※
人間誰にでも間違いはあります。
おわりに
前回の
「宿題は無意味である」というのは誤解!フェイクニュースにご注意を!!!
の記事に引き続き、
今回も、メンタリストDaiGoさんの動画の「間違い」について
ご紹介してきましたが、
メンタリストDaiGoさんの動画を貶めているわけではありません。
正直、
興味深い動画が非常に多い
と感じていますし、
私自身も、1ファンとして楽しんで視聴しています。
特に私は、
ストレスを感じやすい
コミュ障気味
メンタルが弱い
という性格なため、
メンタリストDaiGoさんの動画を参考に、
ウィークポイントの克服に励んでいるほど。
この先は「間違いを指摘する」ばかりではなく
メンタリストDaiGoさんの動画で特に内容的に素晴らしいもの
について取り上げた記事も執筆していく予定ですので、
こちらについてもぜひご期待ください!!!
参考文献
Genes, Education, And Labor Market Outcomes: Evidence From The Health And Retirement Study, Nicholas W. Papageorge, Kevin Thom
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