体罰って子どもにどんな影響が?教育効果ってあるの?

子育て中のみなさん!

2020年4月から

 

親の体罰が禁止

 

になるのをご存知ですか?

 

2019年6月、

国会で、児童虐待防止法・児童福祉法の改正が可決・成立し、

2020年4月から適用されることになったのですが、

法改正の1つとして

 

親がしつけに関して体罰を加えることを禁止する

 

という項目が設けられたため、

 

親の体罰=違法行為

 

となることに!!!

 

明らかな「虐待」による「体罰」は

決して許されるものではないのは明白ですが

 

躾のための体罰

 

については賛否両論あり、

今回の「法改正」を契機に、

インターネット上でも様々な議論がなされています。

 

そんな様子を目の当たりにした私は

ふと思いました。

 

「実際のところ、体罰って子どもにどんな影響があるのだろう」

「教育効果ってあるのかな?」

 

そこで、

 

学習心理学

発達心理学

認知神経科学

 

の研究者である夫に

 

「体罰って子どもにプラスの効果ってあるの?」

 

と聞いてみたところ

いくつかの論文を根拠として示しながら

次のような解説をしてくれました。

 

 

親の体罰は「百害あって一利なし」という研究結果が!

 

夫が解説してくれた論文によると

「体罰」は

 

百害あって一利なし

 

であるようです。

 

Ferguson CJ. (2013). Spanking, corporal punishment and negative long-term outcomes: a meta-analytic review of longitudinal studies. Clinical Psychology Review 33(1): 196-208.

 

によれば、体罰を行うと

 

externalizing and internalizing behavior problems

 

が生じると言われているそう。

 

ここで言う❛externalizing behavior problems❜とは

 

他人を攻撃

物を破壊

反抗

規則を破る

犯罪にまで(発展する可能性あり)

 

❛internalizing behavior problems❜は

 

不安・恐怖

孤立

中毒や依存

神経症

自己否定

 

を意味すると

https://moccia-emotionaldisturbances.weebly.com/internalizing-vs-externalizing-behaviors.html

において説明されています。

 

よってFerguson先生の2013年の論文では、

 

体罰が内面的にも対外的にも好ましくない状態を引き起こしかねない

 

という可能性が指摘されていることが分かります。

 

さらにはcognitive performanceにもマイナスの影響があるとのこと。

 

cognitive performanceとは、日本語では「認知能力」と訳され、

この論文では、知的能力や物覚えの速さとか、あるいは成績を指しています。

 

つまり、体罰を受けた子どもは、

 

性格的な部分で攻撃的になる

大人の言うことを聞かずに規則を破る

鬱や自己否定、中毒や依存症に悩まされる

勉強もできなくなって、成績も下がる

 

ということが示されているわけです。

 

ちなみにこの論文は、

45の論文の結果を統合した総説論文というもので、

単体の論文の結果より説得力が強いものだそう。

 

また、2019年に発表された

 

Ward et al. (2019). Physical Punishment and Child Externalizing Behavior: Comparing American Indian, White, and African American Children. Journal of Interpersonal Violence.

 

という

アメリカのインド系、白人、アフリカ系の子ども3632人を研究対象とした

最新の論文においても、

 

1歳で体罰受けた子は3歳から攻撃的な性格になる

3歳で体罰を受けると5歳から攻撃的な性格になる

 

という結果が得られているとのこと。

 

さらには厚生労働省の特設ウェブサイトでも

 

体罰・暴言は子どもの脳の発達に深刻な影響を及ぼす

 

との記載が。

 

これらの結果から考えると

躾のために行った体罰であっても

精神的・性格的な悪影響が大きく、

かつ規則を破ったり犯罪を犯す可能性が高まることから、

 

躾の効果もない

 

ということは明白!

やはり

 

「体罰」は絶対に行うべきではない!

 

と言えると思います。

 

 

私が娘を「叩いてしまった」経験

 

ここまで、複数の論文等を参考に

 

体罰は百害あって一利なし

 

という事をお話ししてきました。

 

ですが・・・

私は、恥ずかしながら

これまでに数回程度、娘を叩いてしまった事があります。

 

その理由は、私が記憶している限りだと

 

車道に飛び出してしまった(幼稚園前)

お友達のヘアピンを持ち帰ってきてしまった(年少さん)

生命を軽視するような発言をした(小学校高学年)

 

といったもの。

 (もしかしたら私が忘れているだけで他にもあるかも知れません・・・)

 

事の重大さゆえに反射的に叩いてしまった・・・

という感じでしたが、

ふと我に返った時に、

 

後悔

罪悪感

 

で、いっぱいに・・・。

 

いずれのケースにおいても、

その日のうちに、娘本人には

 

「叩いてしまってごめんね」

「お母さんが悪かったよ」

 

と、娘に謝りましたが、

彼女の心の中には

 

「嫌な記憶」

「悲しい出来事」

 

として残ってしまったようです。

 

そもそも「叩く」という行為によって

教育的効果があったとも思えなかったですし、

先ほどご紹介したように

 

体罰は子どもにとって悪影響しかない

 

という可能性が極めて高いので、

私は

 

躾のためであっても体罰は好ましいものではない

 

と感じています。

 

それでは、かつての私のように

「反射的に体罰をしてしまう」ような事態を防ぐには

どうすればいいのでしょう?

 

 

反射的な体罰を防ぐには?

 

「本当は体罰なんてしたくない」と思っていても、

怒りを感じてしまった時などに反射的に手が出てしまう・・・。

 

そんなお悩みを持っている方は多いと思います。

そのような方にご紹介したいのが

 

アンガーマネジメント

 

という、

自身の怒りの感情をコントロールする方法。

 

以下のサイトで詳しく紹介されているますし、

私も実際に試してみて効果があったので

ぜひ参考にしてみてください。

※特に「最初の6秒をやり過ごす」というのは効果絶大だと感じました。

 

アンガーマネジメントの先生に聞く!育児のイライラをコントロールする方法

 

もう子どもにキレない!「アンガーマネジメント」で変わろう

 

 

おわりに

 

私たち親が子どもだった頃は、家庭のみならず

学校などでも「体罰」が行われることが多かった時代だと思います。

 

私自身も、親に頬を叩かれたり、

学校の先生に「げんこつ」をされたりと、

「体罰」を日常的に受けていた経験があります。

 

でも、そのことで私の中に残っているのは

 

痛み

恐怖

 

の記憶ばかりで、

親や先生が私に何を伝えたかったのかは一切覚えていません。

おそらく皆さんも同じような感じなのではないでしょうか。

 

子どもに「体罰」をするべきでないのは明らか。

「アンガーマネジメント」などの工夫をしても

「体罰の習慣」が改善されない場合は

 

自治体の子育て相談窓口

 

など、

然るべき機関に相談するようにしましょう。

 

自治体によっては、LINEやメールで相談できたり

「匿名」で利用できるケースもあるようです。

まずはお住まいの自治体のウェブサイトで調べてみるのがオススメ!

 

そして

 

体罰=してはいけない

 

という意識を、

私たち大人が、しっかりと持っていきたいものですよね。

 

 

参考文献

 

Ferguson CJ. (2013). Spanking, corporal punishment and negative long-term outcomes: a meta-analytic review of longitudinal studies. Clinical Psychology Review 33(1): 196-208.

 

Ward et al. (2019). Physical Punishment and Child Externalizing Behavior: Comparing American Indian, White, and African American Children. Journal of Interpersonal Violence.

 

https://moccia-emotionaldisturbances.weebly.com/internalizing-vs-externalizing-behaviors.html

 

 

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